事業承継士の村上智史です。
「そろそろ事業承継について考えないとなぁ・・」
そう思ったとき、
多くの経営者が最初に直面するのが、
「誰に相談するのがよいか?」というお悩みです。
税理士・弁護士・金融機関・M&A仲介会社
FA(ファイナンシャルアドバイザー)・事業承継士。
事業承継に関わる専門家は数多く存在します。
しかし、それぞれ立場も役割も異なるため、
相談相手によって提案される結論が変わることも珍しくありません。
税理士に相談すれば、株価対策の話になりやすく、
M&A仲介会社に相談すればM&Aのメリットについて説明を受けるでしょう。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
しかし、本来経営者が考えるべきことは、
「自社にとって最適な事業承継とは何か」
「最も重視する要素は何なのか』
ということです。
会社の更なる発展なのか?
経営者のハッピー・リタイアなのか?
子どもへの継承が重要なのか?
従業員やステークホルダーを守ることか?
ご自身にとっては、いずれも重要かもしれませんが、
優先順位を付けながら、取捨選択せざるを得ないケースもあります。
今回は、事業承継に関わる専門家の違いを整理しながら、
自社に合った相談先の選び方について解説します。

<目 次>
- 1.事業承継の選択肢は一つではない
- 2.税理士・弁護士・金融機関の役割
- 3.M&A仲介会社とは
- 4.FA(ファイナンシャルアドバイザー)とは
- 5.事業承継士とは
- 6.結局、誰に相談すればよいのか
- 〜まとめ〜
1.事業承継の選択肢は一つではない
主な事業承継の選択肢としては、
- 親族内承継
- 従業員承継
- M&A(第三者承継)
があります。
さらに、
- 当面は現状維持
- 計画的な廃業
も経営判断としては十分にあり得る選択肢です。
<参考記事>
baton-consulting.hatenablog.com
つまり、本来のテーマは、
「どの承継方法が最も自社に適しているか」です。
ところが、多くの経営者にありがちなのは
最初に相談した専門家の得意分野に引っ張られるという現象です。
だからこそ、まずは各専門家の役割を理解しておくことがとても重要になります。
2.税理士・弁護士・金融機関の役割
1)税理士
事業承継において、最も身近な相談相手は「税理士」でしょう。
税理士は、主に
- 自社株評価
- 相続税対策
- 贈与税対策
- 組織再編
などに強みがあります。
特に非上場企業では、自社株評価額が想像以上に高くなっているケースも少なくありません。
<参考記事>
baton-consulting.hatenablog.com
そのため、株価対策や相続税対策は事業承継の重要なテーマです。
ただ、その一方で、税理士は「税務の専門家」です。
後継者育成や経営承継、M&A実務、家族間の感情調整まで得意としているとは限りません。
2)弁護士
弁護士は、一般的に
- 株主や親族間の紛争の防止や解決
- 相続時のトラブルの対応
- 法務リスク対策
などを得意としています。
親族間・株主間での利害対立や、株式の帰属先が争われたりするケースでは欠かせない存在です。
3)金融機関
銀行や信用金庫などの場合、
- 事業承継に必要な資金の融資
- M&A候補先の紹介
- 取引先ネットワークの活用
などに強みがあります。
ただし、必ずしも事業承継全体を俯瞰して助言する立場ではありません。
つまり、いずれも重要な専門家ですが、
事業承継全体の方向性を決める役割とは少し異なる
という点は理解しておく必要があります。
3.M&A仲介会社とは
近年、マス媒体でも露出が増えていることもあって、
M&A仲介会社の知名度は急速に高まりました。
M&A仲介会社の主な役割は、
売り手企業と買い手企業をマッチングし、成約まで支援すること
です。
買い手候補の探索から条件交渉、契約締結までをサポートするため、
- 後継者がいない
- M&Aを前提に考えている
- 早期に譲渡したい
という企業にとっては非常に有力な選択肢になります。
その一方で、留意しておきたいのが「利益相反」の問題です。
仲介会社の多くは、
「売り手と買い手の双方から報酬を受け取るビジネスモデル」を重視しています。
そのため、
売主のメリットである「できるだけ高く売ること」よりも
「取引自体を早期に成立させること」が優先されやすい
という指摘があります。
<参考記事>
baton-consulting.hatenablog.com
実際に国(中小企業庁)もこの問題を重視しており、
「中小M&Aガイドライン」の策定や「M&A支援機関登録制度」の運用を通じて、
顧客への説明義務や利益相反への対応を強化しています。
もちろん、豊富な買い手候補リストを手元に用意している、ディールまでの段取りや手続き面で要所を押さるスキルなど、仲介会社ならではの大きな強みや顧客側にとってメリットも認めるべきです。
要は、それぞれの役割と特性をよく理解したうえで、
うまく活用することです。
4.FA(ファイナンシャルアドバイザー)とは
FAは、売り手または買い手のどちらか一方だけを支援する専門家です。
したがって、仲介会社との違いは、
依頼者の代理人として行動すること にあります。
売り手側FAであれば、
- 企業価値評価
- 買い手候補の選定
- 条件交渉
- デューデリジェンス対応
- 契約支援
などを通じて、依頼者の利益最大化を目指します。
そのため、
- 売却金額が大きい
- 条件交渉が重要
- 利益相反を避けたい
という場合には非常に有効です。
一方で、小規模企業ではコスト面の問題から、仲介会社を利用するケースも少なくありません。
5.事業承継士とは
事業承継士は、
事業承継全体を設計する専門家 です。
M&Aを成立させることが目的ではありません。
親族承継だけを推進する立場でもありません。
重要なのは、複数の選択肢(親族内承継・従業員承継・M&A)を比較しながら、
「どの方法が最も経営者と会社にとって幸せな選択なのか」
を考えることです。
例えば、
- 本当に後継者はいないのか
- 従業員承継の可能性はないのか
- M&A以外の方法はないのか
- オーナー自身は何を望んでいるのか
といった論点を整理しながら、承継の方向性を設計していきます。
しかし、事業承継士の役割はそれだけではありません。
事業承継の現場では、
・経営者は本音を言わない。
・後継者も本音を言わない。
・家族も従業員も遠慮してしまう。
というケースが少なくありません。
その結果、
「親は継がせたいと思っていた」
「子どもは継ぐつもりがなかった」
という悲劇が起きることもあります。
そこで事業承継士は、
経営者と後継者、家族や幹部社員との間に入り、
互いの本音や想いを引き出し、相手に伝わる言葉へ翻訳する
『ファシリテーター(ソフト面の支援役)』としての役割も担います。
さらに実行段階では、クライアントの抱える課題や要望に合わせて
税理士、弁護士、FA・仲介会社といった各専門家をコーディネートしながら
プロジェクト全体を管理します。
オーケストラで例えるなら、
税理士や弁護士、FAは「演奏者」であり、
事業承継士は「指揮者」です。
つまり、
事業承継士は
承継計画の作成から承継の実行段階までを見届けるとともに
「事業承継の全体最適化」をミッションとする専門家 と言えるでしょう。
6.結局、誰に相談すればよいのか
すでに後継者候補がいるような場合は、
事業承継士と税理士への相談が有効です。
まだ具体的な後継者がいない場合は、
まず事業承継士に相談し、本当にM&Aしか選択肢がないのかを整理することが重要です。
第三者承継(M&A)を決断している場合は、
M&A仲介会社またはFAが有力な相談先になるでしょう。
また、なるべく有利な条件での交渉を重視する場合はFAが向いています。
つまり、
「最初に相談する専門家」と「実行段階で必要な専門家」は
必ずしも同じである必要はない ということです。
<参考記事>
baton-consulting.hatenablog.com
〜まとめ〜
最も避けるべきことは、
「手段(相談相手)だけが先に決まり、
目的(事業承継の実現)が後回しになること」
です。
M&Aも、親族承継も「手段」です。
重要なのは、
「どの方法が自社にとって最も望ましいのか」
を冷静に見極めることです。
事業承継は、多くの経営者にとって一生に一度の大きな意思決定です。
だからこそ、「誰に相談するか」が成功を左右するのです。
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バトン・コンサルティングでは、
事業承継士が中心となり、税務・法務・経営といった「ハード面」だけでなく、
家族や従業員の感情といった「ソフト面」も含めて、
『全体最適』な事業承継をサポートしています。
また、「M&A支援機関」にも登録済みのため、
「中小M&Aガイドライン」を遵守し、
透明性の高い支援を行うことをお約束しています。
「親族承継とM&A、どちらが自社に向いているのか分からない」
「顧問税理士から株価対策の提案を受けているが、それだけで十分なのか不安だ」
「後継者候補はいるが、本人の意思を確認できていない」
そんなお悩みをお持ちでしたら、まずはお気軽にご相談ください。
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